歯石を着かなくするための歯磨き方法
歯が黄ばんできて、「もしかしたら歯石が付いているのでは?」と気になっていませんか?
歯石が付くと細菌が増え、虫歯や歯周病の原因になります。それに、歯石には歯垢(プラーク)が付着しやすいために口臭原因になるかもしれません。
このように、歯石がつくリスクは高いです。でも、不思議ではないですか、毎日歯磨きをしているのに、歯石が付いてしまうのは。
何が間違っているのでしょう?
今回の記事は、歯石が付く原因と適切な対策方法についてお伝えします。ぜひご参考にしてください。
この記事は、現役歯科衛生士の上林ミヤコが書きました。
歯石とは
歯医者さんに歯石取りに行く人が多いのですが、「歯石」について理解していない人が多いようです。あなたは、歯石について説明できますか?
良くある間違いは、歯垢(ぷらーく)と歯石を混同していることです。歯垢は、歯周病菌などの細菌が集まってできたネバネバをいいます。その歯垢が2日ほどたつと固まり石のように硬くなります。
歯石が付着しているのは、歯間や歯と歯ぐきの境目が多いです。
歯の表面は、歯磨きや食事によって歯垢の段階で取れてしまうから、ほとんどありません。
歯石を顕微鏡で見ると、軽石のように無数の細い管状に穴があいています。この穴の中は、細菌にとってはもってこいの隠れ家です。ブラッシングしても歯石の穴の中に隠れている細菌は、平然として生きていけます。海岸でいうとテトラポットのようなものです。テトラポットの中には小魚が隠れていますが、これは、大きな魚から身を守るためです。
さらに、歯石は軽石のようにザラザラとしているので、ネバネバした歯垢が付着しやすい。だから、歯石ができるとすぐに大きく成長するのです。
歯磨きをしていても歯石はできる
毎日ていねいに歯磨きをしているのに、虫歯や歯周病になることがあります。それどころか、口臭までしていることも。どうしてだと思いますか?
口臭原因については⇒⇒『口臭がドブ臭でもアルカリイオン水うがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・』
舌磨きが良くない理由は、『舌磨きは絶対にしてはいけない!なぜなら口臭をひどくする原因だからです。どうしたらいいかというと・・・』をご参考にしてください。
それは、歯磨きが充分にできていないからです。歯磨きをしても歯垢が取れていないからです。だから、歯石がつき虫歯菌や歯周病菌が増えたのです。歯周病について詳しくは『歯周病を治したい!治療にかかる期間と費用は?』をご参考にしてください。
どうして、そんなことが言い切れるかというと、私の場合、3か月おきに定期的に歯医者さんで検診を受け、その時に歯石を取ってもらいます。自慢ではありませんが、誰よりも丁寧に歯磨きをしているという自負があります。それなのに、毎回必ず歯石が着いているのです。
歯石取りについて詳しくは『歯石除去は必要?痛くない?自分で取れる?何か月おきが良い?費用は?』をご参考にしてください。
それで、歯科衛生士さんに「丁寧に歯磨きをしているのに、どうして、歯石が着くのでしょうか?」と質問すると、
衛生士さんからは、「歯周ポケットの中や歯と歯の間は歯磨きがしにくい箇所なので、どうしても磨き残しができます。それで歯石が着くのですよ。」
確かに説得力のある言葉です。
でも、もう一つ納得いかないので、カラーテスターを使ってみることに。いつもの通り歯磨きをした後に、カラーテスターで磨けていないかどうかチェック。
すると、赤くなっている箇所がいくつもあります。(カラーテスターはプラークに反応して赤くなります。色によって磨けていない箇所が分かる仕組みです。)
えっ?うそ?何かの間違いでは?
誰よりも丁寧に歯磨きをしているはずなのに?
でも、赤くなったのが何よりも事実です。納得するしかありませんでした。それから、ずっと続けてきた歯磨き方法を変えてみたのです。その方法については、後述します。
これは、私の体験でしたが、一般的によくある歯石による症状は、「毎日歯磨きをしているのに、歯にシミが着いた。」とか、「虫歯になった。」、「歯周病になった。」という方が多いようです。
歯にシミが着く原因は、お茶やコーヒーの色素ですが、きちんと磨けていればシミが着くことはありません。
しかし、例外もあります。脱灰化が多く歯面がザラザラしているとか傷がついている場合には、そこに色素や汚れが入ってしまうので、きちんと歯磨きをしても取れないことがあります。その場合は、歯科でPMTC(プロフェッショナル・メディカル・トゥース・クリーニング)を受けて歯面をツルツルにしてもらうと、汚れがつきにくくなります。予防歯科やPMTCについて詳しくは『カンブリア宮殿→「予防歯科」だけでは解決できないこと?』をご参考にしてください。
虫歯や歯周病になる原因は細菌ですが、細菌が形成するネバネバした歯垢(プラーク)が歯にくっついているが原因です。歯磨きを行うのは、このプラークを取るためです。ところが、虫歯や歯周病になるのは、歯垢(プラーク)が取れていないからです。先ほども申しましたが、歯垢を残しているから歯石ができるのです。
誰でも、歯磨きをしているので大丈夫と信じているのですが、現実は磨けてないのが現状のようです。その証拠に歯間ブラシで磨き、嗅いでみると臭いいかもしれません。一度試してみてください。詳しくは『口臭の元!歯間ブラシが臭くなる原因と対策ポイント4つ』をご参考にしてください。
それでは、どうすれば良いのでしょう。
自分で歯石は取れるか?
歯石取りについてネットで検索していたら、自分で歯石を取る方法が紹介されていたのでビックリ!
更に調べると、ネットやドラッグストアで歯石取り用のスケーラーまで販売されていたので、更にビックリです。
ネットで紹介されているからといって、決して自分で歯石取りをしてはいけませんよ。考えてもみてください。歯石取りというのは、歯面にピタッとくっ付いている石のように硬い歯石を取る作業です。
その歯石を取るのは、前歯の表面にあっても困難です。スケーラーを使用しても歯に傷をつけるのがおちです。
硬い歯石を取るために歯科で使用しているのは、(プロ用の高額な)超音波スケーラーや手動スケーラーです。それらを使っても、大変困難な作業です。歯科衛生士は、そのために3年間も学校で講義・実習で学び、その後勤務して経験を積み上手になっていきます。それでも、歯石取りは困難な作業です。
その歯石が出来ているのは、歯間や歯と歯ぐきの境目などせまい部分ばかり。ブラッシングでも難しい部分です。ブラッシングが出来ないほど狭く困難な部分を金属のスケーラーを突っ込んだら、歯ぐきや歯を傷付ける可能性が大きいです。
歯ぐきにばい菌が感染したら、治療のために日にちと費用がかさみ元も子もなくなります。ですから、ご自分で歯石を取ろうと考えるよりも、歯科衛生士さんに取ってもらうほうが安心で楽ですよ。
歯石取りは痛いか?
歯石取りが痛いと思っていませんか?実は、歯石を取るとき痛い場合と痛くない場合があります。
歯石取りで痛い場合というのは、汚れがたまり歯ぐきが炎症(歯ぐきが赤い、腫れ、歯ぐきからの出血)を起こしている場合です。歯肉炎について詳しくは『歯肉炎は美息美人(びいきびじん)で治るか?』をご参考にしてください。
歯石取りの時に痛くなる場合は、どうしても歯ぐきと歯の境目の汚れを取ろうとすると炎症を起こしている分、過敏に反応するケースがあります。
歯石取りで痛くない場合というのは、毎日の汚れをしかっり落としていて歯ぐきが健康(歯茎の色が薄いピンク色、歯茎がキュッと引き締まっている)な状態の時です。
それでも、歯ぐきと歯の境目を触るので多少はヒリッとする感覚がある場合もあります。
ほかにも、現在はきれいに磨いていても、過去の磨き残しがたまっているとポケット内に歯石が付いてしまっている場合があります。そういう時は、ポケット内の歯ぐきに触れるので多少ヒリヒリする場合があるかもしれません。
どちらにしろ、数日は少しヒリヒリするかもしれませんが、しばらくすると落ち着いてくるようです。でも、痛みが続く場合は歯科に行ってくださいね。毎日しっかりと歯磨きを続けていると、歯石取りを怖がる必要はないと思います。
歯石をつかなくするために
昔教わった歯磨き方法に問題があることが理解できたと思います。ですから、これからご紹介する方法を加えることで今よりもずっと綺麗な歯を保てることになります。
1、正しいブラッシング方法で歯磨きを行う
歯磨きをしても磨き残しができる大きな理由として、正しくブラッシングできていないことがあります。歯磨きというのは、子供のころからずっと習慣で行っているものですので、歯磨きの仕方に癖があります。
歯ブラシを横に強くゴシゴシと磨く人。右利きで左側が良く磨けるが右側に磨き残しが出来る人。前歯の表は磨けているが、裏面を磨かない人。奥歯の奥は磨かない人。歯磨きをさっさと済ます人。歯磨きは人によって癖があります。だから、磨き残しが出来るのです。
この対策としてお勧めするのは、歯科衛生士さんにブラッシング指導を受けることです。歯磨きのプロから指導を受けることで、自身の悪い癖も分かるので要領よく歯磨きが出来るようになります。
2、歯ブラシ以外の歯磨きツールを使用する
歯ブラシで歯磨きをしても、歯と歯の隙間部分や歯周ポケットの中は磨けません。だから使ってほしい歯磨きツールがあります。それは、歯間ブラシとワンタフトブラシ、フロス。
これらは、すべて使い道が異なります。歯間ブラシは、歯と歯の間の食べかすを除去するのに適しています。フロスは歯間の歯に着いたプラークを削ぎ落すことができます。そして、ワンタフトブラシは、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットの中をきれいにすることができます。
歯肉炎が気になる方であれば、ワンタフトブラシはお勧めです。(※ワンタフトブラシは美息美人の購入特典としてついてきます。)
3、歯科医院で歯石除去とクリーニング
どれだけ頑張って歯磨きをしても、歯石が着きます。歯石を残すとプラークも着きやすくなり虫歯、歯周病、口臭と良いことはありません。
ですから、3か月おきに定期的に歯石除去と歯をクリーニングすることをお勧めします。歯をクリーニングすることで、汚れも着きにくくなるので、毎日の歯磨きも簡単になります。
定期的に歯をクリーニングすることで、シミも着きにくくなりますし、歯も白く保つことができます。
どうでしたか?ご参考になりましたか?
歯磨き方法を変えるだけで、今までの歯が見違えるかもしれません。でも、歯磨き方法だけではなく、歯磨き粉の選択も重要なことです。
だからといって、歯磨き粉は沢山あり何を基準に選べばいいのか迷ってしまいますよね。そんな時には、こちらのコラム「歯医者さんがおすすめする歯磨き粉ランキング」を参考にされてはいかがでしょう。
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