
舌が痛い「舌痛症」の原因と治療方法
「舌がヒリヒリする。ピリピリと痛い。」のを舌痛症といいますが、その原因の多くは舌炎によるものです。
舌は知覚が敏感な部分のため、少しの傷や炎症でもしみたり痛いものです。舌の痛みが続くと、「もしかしたら、舌がんではないだろうか?」と不安になるかもしれませんね。それほど、舌が痛いのはつらいものです。
もちろん、舌の痛みが続く場合は、受診することが大切です。でも、何科にかかれば良いのかも分かっていないのではないでしょうか?それほど、舌痛症については知らないのではないでしょうか。
今回の記事は、舌痛症の症状、原因、治療方法などについてお伝えします。是非ご参考にしてください。
※この記事はオーラルウェルネス歯科医院院長ファストロ滋子医師により監修を受けた記事です。
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※2019年1月26日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2019年2月19日に再度公開しました。がんは
この記事の目次
舌がんの痛み
舌がピリピリと痛むと「舌がんではないだろうか?」と心配されるかもしれませんね。しかし、初期の舌がんでは痛みがありません。持続的に舌が痛く感じる頃には癌が進行しているので、初期に発見することが大事です。
そのためには、早目に病院で診察や検査を受けることが大切です。
舌がんの症状
- 舌の縁に固いしこりができる
- 初期がんは痛くない
- 口内炎と似ているため、見分けることが困難
- 口内炎は10日程度で治癒するが、それ以上しても治らない場合は癌の可能性が高い
⇒ 舌がん?それとも口内炎?見分ける方法と注意点とは? - 舌がんが進行すると、舌に痛みや腫れ、出血、強い口臭を生じる
- 更に進行すると、食べ物が飲み込めない、会話が困難、頸部の腫れ(リンパ節)が起きる
舌がんに変わる病気に、白板症と紅板症があります。舌が白くなっていたり、赤く(紫)になっていたら、診察を受けるようにしてください。
舌痛症(ぜっつうしょう)とは
舌痛症は、舌がひりひりするのが一番の特徴です。そして、中高年の女性に多い。
舌がやけどをした後のようにひりひりと持続的に痛む舌痛症という疾患は、中高年の女性に多発傾向にあります。
引用:京都大学医学部附属病院 歯科口腔外科
少し前までは、病院で舌の痛みを訴えても異常がない場合に、「舌痛症」と診断されたようです。
歯科や口腔外科、耳鼻科、内科、消化器科などいろいろな科を受診されても、「異常ないから心配ないです」「気のせいです」としかいわれないことが多いようです。
引用:北海道大学歯学部 口腔診断内科 舌のひりひりピリピリ
しかし、舌痛症の一番の原因は、口の中のカビ(カンジダ)だといわれています。
最近の研究では、舌痛を訴える患者さんのなかに別の要因が関係している場合があることがわかってきました。その1つ目は、口の中のカビ(真菌のカンジダ)です。
引用:北海道大学歯学部 口腔診断内科 舌のひりひりピリピリ
舌が痛い時は何科に行けば良い
舌が痛い時には、一般的には耳鼻科や歯科で診てもらえば良いです。歯科医は、歯だけではなく口腔内のことについては良く分かっているので、治療ができないケースでも診断することはできます。
舌が痛いと言っても、その原因は異なります。義歯のクラスプなどとがった物に舌が当たり傷が出来、舌が痛い場合もあれば、口内炎ができて痛いこともあります。しかし、舌の痛みはそのようなケースだけではなく、ストレスなどが原因による精神的な舌痛症もあります。
傷や炎症で舌が痛い時には、歯科や口腔外科で治療が可能ですが、精神的な原因による舌痛症の場合には、精神科や神経内科が専門になります。
舌がピリピリ痛む原因
舌の表面がヒリヒリ、ピリピリと痛くなる舌痛症の原因は人によって様々で、原因の分からないことも。
原因として、ストレス等の心因性要因が大きく影響していますが、歯列不正、口腔乾燥、舌の血流障害等が関与していることもあり、原因のよくわからないこともあります。
引用:東京医科大学 口腔外科学分野 舌痛症
カンジタ性の口内炎
口の中にカビ(カンジタ菌)が増え、上あご・舌・唇などに白い苔状や赤い斑点やびらんができます。カンジダ菌による口内炎は歯肉にできることは少なく、舌に良くできます。だから、熱いお茶などを飲んだときに舌がヒリヒリします。
口腔カンジダ症の主な症状としては、
- 口内にクリーム状の斑点ができる。
- 唇の端にひび割れができる。(口唇炎)
- 舌が赤くなり痛みがある。舌が平滑になる。口腔カンジダ症には、舌に苔ができ真っ白くなる偽膜性カンジダ症と粘膜が赤くなりヒリヒリする萎縮性カンジダ症があります。
カンジタ菌は誰でも持っているものですが、体の調子が悪く免疫力が低下することで菌のバランスがくずれたり、抗生物質を長期間使用したことによって異常繁殖することでなることがあります。
口腔カンジタ症の治療方法は、口の中の局部に抗真菌剤を塗布する方法と、口に抗真菌剤を含む方法があります。口腔カンジダ症の原因と治療については『急に舌に白い苔が!ヒリヒリする!それって口腔カンジダ症かも?』をご参考にしてください。
ドライマウス
難病指定のシェーグレン症候群や加齢などによって、ドライマウス症になることがありますが、口の中が乾燥すると舌の表面に舌苔(ぜったい)ができたり、傷つきやすくなるため、ヒリヒリ、ピリピリと痛むことがあります。
シェーグレン症候群は唾液や涙が出ない難病指定の病気です。
ドライマウス症はこちらをご参考にしてください。
シェーグレン症候群などによって舌がパサパサに乾いている場合には、少しの刺激でもヒリヒリピリピリと痛みを感じます。
ですから、唾液が出ていない場合には、美息美人(びいきびじん)を使うと、舌に直接刺激を受け、余計にヒリヒリするかもしれません。
そのような場合は、美息美人のご使用はお控えください。
異常に舌や口腔が乾く場合には、シェーグレン症候群かもしれないので早めに歯科や内科を受診されることをお勧めします。
舌の口内炎
口内炎になると、中心部が楕円形に白くなり、その周囲が赤く腫れます。軽く触れるだけでも、痛みを感じピリピリします。
次のようなことが原因となって口内炎がおきます。
- 亜鉛・鉄・ビタミンの欠乏症
- 疲れやストレスにより免疫力が低下
- 義歯のクラスプや被せなどが破損し尖った部分が舌に当たる
- 精神的ストレス
舌に口内炎ができても、普通は日にちが経過すると自然と治っていきます。ところが、中々治らない場合には、舌がんの可能性もあるので放置してはいけません。治りが遅い場合は、一日も早くお医者さんに診てもらうことをおすすめします。舌の口内炎について詳しくは、『舌がんの症状!口内炎との違いはコレ!2週間治らなければ注意』をご参考にしてください。
口内炎ができたときには、刺激のある食べ物を控えたりすることが大事ですが、ビタミンなど多く含まれる食べ物を多くとるようにしないといけません。口内炎ができた時の対策について詳しくは、『口内炎が治らない!それってビタミン不足や食べ物が原因?塩で治る!?』をご参考にしてください。
脳神経の混線による舌痛症(ぜっつうしょう)
舌がヒリヒリ、ピリピリする原因について紹介しましたが、舌がヒリヒリ、ピリピリする原因で多いのは、原因不明による舌痛症です。患者さんは舌が痛いと訴えるのですが、外見上の異常は見当たらないので、治療方法もないようです。
舌に異常感を訴えるが、それに見合うだけの肉眼的な異常がないもの(局所所見、検査所見に異常のあるものを除き、心気症に近い病態で何らかの精神的要因が背景にあるもの)
引用:日本口腔外科学会 口腔外科相談室 舌が痛い
舌痛症は、脳の神経の混線が一因ではないかと推測されています。
この舌痛症になる人は40歳以上の女性に多く、まじめで几帳面な人が目立つようです。自臭症のタイプと似ていますね。
また、半数ぐらいの人が歯の治療後に症状を感じており、口の中の環境の変化などが関わっている可能性もあるようです。
2~3ヶ月、舌がヒリヒリ、ピリピリするようでしたら、口腔外科や耳鼻咽喉科などを受診されたほうが良いでしょう。
この場合の舌痛症は、口内炎などのような舌のただれや傷など、見た目には異常がないため、経験の少ない医師の場合には、「気のせい」、「治療方法がない」と取り合ってもらえないこともあるようですので、専門医を探すことが大事です。
また、この場合には、舌がヒリヒリ、ピリピリするからといって、市販薬を飲んでも効きませんのでご注意ください。神経の異常が原因による舌痛症の場合には、神経内科を受けられることをおすすめします。
神経内科による治療では、主に「アミノトリプチン」など、痛みを和らげる抗うつ剤や抗てんかん薬を使うことが多いようです。こうした薬に抵抗感を持つ人もいますが、使用量はうつ病に比べると少なくてすみ、50年以上前から舌痛症に効果があることも分かっています。
痛みが続くとさらに不安が増し悪化するため、早めに薬で痛みを抑えることが大切です。
7割ぐらいの人に効果がありますが、便秘や眠気、口の乾きなどの副作用もあるため、薬の服用には慎重にならないといけないようです。
薬を服用することで、1ヶ月ぐらいで痛みが治まる人が多く、ぶり返さないように徐々に薬の量を減らしながら半年間ぐらい飲むそうそうです。
舌のヒリヒリやピリピリがいったん治まれば再発の心配はほとんどありません。ただし精神面の影響が強い場合は、精神科の治療も必要になることも。
対策としては、薬による治療だけではなく、睡眠不足を避け生活リズムを整えることも大切です。疲れると痛くなるようです。忙しいというような理由で眠る時間が少ないと脳が休まらず痛みも中々治まりません。
ガムやあめなどで痛みがまぎれることもあるようです。
参考記事:毎日新聞 2016.1.11 くらしなび 医療・健康
舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)
舌咽神経痛は、舌の奥にある神経の異常でおきる病気です。口を大きく開けたり、酸っぱい食べ物を食べた時にひどい痛みを感じます。
舌や喉の奥に我慢できないような強い痛みを感じるのが特徴です。口を開けた時に痛みを感じるので、顎の関節が痛いと感じる人が多いようです。
舌が白くなり痛いのは舌磨きのし過ぎが原因
舌が白くなる(または黄色くなる)と、見た目が悪いだけではなく、口臭もでるようになります。舌が白くなっているものを舌苔(ぜったい)といいます。詳しくは『舌が白い人と白くない人5つの違い!舌苔ができる原因・取り方・予防』をご参考にしてください。
舌をきれいにするために舌を磨く人がおられます。でも、舌磨きで舌苔(ぜったい)をきれいに取ることはできません。
というのは、舌を見るとわかりますが、舌の表面は乳頭によってザラザラです。舌乳頭の間に汚れがたまっているので、たとえブラシを使ってもきれいに清掃することはできません。そのため、知らず知らず、過剰に舌磨きを行うことになっているのではないでしょうか。
それに舌磨きを行っても、舌がきれいになるのはその時だけ。時間とともに、直ぐに元どおりに白くなります。だから、一日の内に何度も舌磨きを行う人もいます。
このように舌磨きを過剰に行っていると、デリケートな舌粘膜を傷つけてしまいます。傷がつくと細菌が繁殖し化膿します。そのことによって、舌が「ヒリヒリ」することがあります。
もし、今も舌磨きを行っているのでしたら、直ぐにやめることをお勧めします。
「でも、舌を磨かなかったら。。。(白くなってしまう。)」
そのようにご心配されているのでしたら、美息美人(びいきびじん)をお使いになってみてはいかがでしょう。詳しくは『美息美人(びいきびじん)で舌苔を除去する方法…白い舌がきれいに』をご参考にしてください。
舌が痛い場合のお薬
これまで舌が痛い場合の原因についてお話しました。舌が痛いといっても口内炎が原因の場合もあれば、神経系の病気かもしれませんし、過剰な舌磨きが原因のこともあります。
カンジダ菌が検出された場合は抗真菌剤の投与を、微量金属やビタミンの不足の場合はその物質を補充することで容易に症状は改善します。これらが該当しない場合、心因性と考えます。
引用:北海道大学歯学部 口腔診断内科 舌のひりひりピリピリ
ですから、ケースによってお薬も違ってきます。
【口内炎で舌が痛い場合のお薬】
- 口内炎パッチ 大正クイックケア(パッチ)
- ケナログA口腔用軟膏(塗り薬)
- トラフル ダイレクト(パッチ)
- トラフル錠(飲み薬)
- チョコラBBプラス (飲み薬)
【口腔カンジダ症のお薬】
ファンギゾンシロップやフロリードゲル経口用などの真菌薬
【ドライマウスで舌が痛い場合】
ドライマウスに効く市販薬はありませんが、舌に塗る保湿ジェルがおすすめです。乾燥を防ぐ働きがあるのでヒリヒリ感が和らぐ効果が期待できます。保湿ジェルについて詳しくは、『舌の奥が白い!その原因と対策は?保湿ジェルがおすすめ』をご参考にしてください。
【神経系が原因の舌痛症のお薬】
市販薬はありません。神経内科などで痛み止めなどのお薬が処方されます。
どの場合も自己判断でお薬を購入するのではなく、薬剤師さんやお医者さんにご相談されてから使うことが大事です。
まとめ
舌がピリピリするといっても、原因が様々です。一時的な口内炎の場合もありますが、舌がんのような病気の場合もあるかもしれません。ですから、舌が痛むときにはお医者さんに診てもらうことが大事です。
舌痛症であんがい多いのが、脳神経の混線によるものだということに驚かれたかもしれません。この場合も口腔外科や耳鼻科を受診することをおすすめします。処方薬で痛みが軽減できるそうですので、がまんする必要がなくなります。
このほか、病気ではないのですが、舌の磨きすぎで舌がヒリヒリと痛んでいる人も多いようです。この場合は、舌を磨かないようにすれば痛みはなくなりますが、「舌が白い」という問題が残ってしまいます。舌を磨かないできれいにするには、「美息美人(びいきびじん)」をお使いになってみてはいかがでしょう。
【引用・参考文献】
京都大学医学部附属病院 歯科口腔外科
北海道大学歯学部 口腔診断内科 舌のひりひりピリピリ
東京医科大学 口腔外科学分野 舌痛症
日本口腔外科学会 口腔外科相談室 舌が痛い
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