カビと聞いて何を連想するでしょうか?
すぐ思い浮かぶのは
お風呂に生えるカビ
パンやみかんに生えるカビ
靴や鞄など革製品に生えるカビ
などかもしれませんね。
あまりいいイメージのないカビですが、
実はあなたの身体の中にも潜んでいることを知っていますか?
特に腸のカビは増殖してしまうと、精神的にも肉体的にも実に多くの問題を引き起こします。
しかし、その事実を知っている人はほとんどいません。
医師の間でも、その事実を知る人はそう多くはありません。
ここでは、身体の中で悪さをするカビ、そして腸に生えているカビの正体についてお伝えします。
お風呂のカビを想像してください!
まず、家の中に住むカビを考えてみましょう。
家の中のカビが増えるかどうかは、
家の中の「温度・湿度・養分」で決まります。
この3つの条件が整うと、家の中ではカビはどんどん増えていきます。
特にお風呂は、暖かく、湿気があり、人の垢や皮膚などの栄養もあるため、カビの格好のすみかとなっていますよね。
では、身体の中はどうでしょう?
身体の中は37℃前後、湿度もあり、人が食べた食事によって養分もたっぷりあるので、
カビの住処としては、これほどいい場所はありません。
だまっていても、毎日養分は入ってくるし、カビが飢え死にることはなさそうです。
事実、カビは常在菌で、私たちの身体にも住んでいますが、
普段は悪さをすることはありません。
しかし、何らかの原因でカビが増殖したり、形を変えたりすると、
カビは身体に悪さをし始めます。
身体の中で悪さをするカビ! 腸カビの正体!!
さてここで、カビについて少し見ていきたいと思います。
微生物は細菌、ウィルス、真菌などに分類されますが、
カビはこのうち真菌と言われる仲間に属します。
人に悪さをするカビとして有名なものに水虫の原因となる白癬菌や、
鵞口瘡(がこうそう/口腔カンジダ症)や膣カンジダの原因となる
カンジダ・アルビカンスというカビがあります。
これらのカビの仲間のうち、腸に生えるカビの代表がカンジダ菌です。
このカビのカンジダ・アルビカンスは二形成菌と呼ばれ、
条件によって酵母形と菌糸形の両方の発育形態をとります。
酵母(イースト)とは、ビール酵母やパン酵母として知られているように、
糖を利用し、アルコールと炭酸ガスに分解しながら分裂し、成長する菌です。
一方、菌糸は細長い糸状の姿を持つ菌です。
カンジダ菌を顕微鏡で覗くとこんな感じです。
酵母 菌糸
このカンジダと呼ばれる腸カビは、
生体環境のpHの変化でその状態を変化させ適応させていきます。
pHが低い時(酸性)は酵母の状態、
pHが高い時(アルカリ性)は菌糸の状態に変化します。
そして、菌糸の状態になった腸カビは、
腸粘膜を突き刺し、腸に穴を開けてしまうのです!
その結果、腸は炎症を起こし、
また、空いた穴から細菌や毒素、未消化の食物などが漏れ出し
様々な症状や不調を引き起こします。
この、腸に穴が空いた状態をリーキーガット(腸漏れ)と言います。
リーキーとは漏れること、ガットとは腸のことを指す英語です。
下の顕微鏡写真を見てください。
King’s college of London , muscosal&salivary biology より
菌糸状になったカンジダ菌が粘膜を突き抜けているのがわかります。
このように菌糸状になったカンジダ菌は
口腔内では口腔粘膜を、そして腸では腸粘膜に穴を開け、炎症を起こします。
その穴からは、細菌や毒素、未消化の食物が身体の中に侵入し、
血流に乗って全身をかけめぐります。
これが腸カビの正体です。
その不調、実は腸カビが原因です!!
腸カビは腸だけに悪影響を与えるだけではなく、リーキーガット(腸もれ)を通して全身へと影響を与えます。
便秘や下痢
鼻炎や花粉症、アトピーなどのアレルギー
頭痛、偏頭痛、脳のくもり
疲れ、倦怠感
短期記憶喪失、集中困難、
リウマチなどの自己免疫疾患
耳鳴り、めまい
口臭、体臭、歯周病
体重増加
甘いものが止められない
こういった症状は腸カビが原因かもしれません。
腸のカビを放っておくと、さらにはアルツハイマーやがんなど
大きな問題に発展してしまう場合があります。
ですので、なんとなく不調を感じたら、腸カビを疑ってみてください。
これは健康のために、とても重要な鍵となります。
なぜ腸カビは全身の病気や不調の原因となるの?
腸の粘膜上皮にある細胞と細胞の間は、通常タイトジャンクションと呼ばれる強固な結合で密着しています。
しかし、何らかの原因で、このタイトジャンクションが損傷し、細胞間の密着が緩むと、あたかも腸粘膜に穴が空いた状態になることがあります。
前述した通り、これをリーキーガット(腸もれ)と呼んでいます。
腸に穴が空いて、腸内から食べ物の分子や病原菌、毒素などが漏れ出すと、様々な症状が起こります。これはリーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)と呼ばれています。
このようにリーキーガットが起こると、緩んだ細胞間の隙間から腸の中にいるバクテリア(細菌)やそれらが出す毒素、炎症性物質、未消化の食物などが身体の中に侵入していきます。
そして、これらは血流に乗り全身を駆け巡ります。すると腸とは関係のない身体の部位で不調が起こる原因となります。
未消化のタンパク質が腸から漏れ出し血中の中に入ると、これがアレルゲンとなり、食物アレルギーの原因となります。また炎症性物質(炎症性サイトカイン)が漏れ出すと、各組織での炎症の原因となります。鼻炎やアトピーなどのアレルギーもその一つです。
甲状腺で炎症が起きれば甲状腺疾患に、関節で起これば関節炎の原因となります。
怖いのはカビだけでなかった!カビが作るカビ毒にも要注意!!
◆カビ毒・アセトアルデヒド
カビはマイコトキシンと呼ばれるカビ毒を放出しています。
肝障害や腎障害を起こしたり、神経毒として作用しますし、これらの中には発がん性のものもあるため注意が必要です。
また、カビはアセトアルデヒドもその代謝産物として作り出しています。
アセトアルデヒドはお酒を飲んだ時にできる成分ですが、これがうまく分解されないと二日酔いの原因となります。お酒を飲んでいないのに、頭痛や吐き気、頭がすっきりしないなどの症状があれば、それはカビのせいかもしれません。
カビ毒がどのくらい出ているかは検査でもわかります。
検査項目の一つである「トリカバリル酸」はカビ毒、マイコトキシンの一種です。
◆酒石酸・シュウ酸
カビはシュウ酸や酒石酸といった物質も作り出します。
シュウ酸は腎結石の原因として知られていますので、ご存知の方も多いと思います。
シュウ酸は結晶化するとハリネズミの針のようにイガイガした結晶を作り、これが身体の組織にできるとき局所の痛みを起こします。シュウ酸を多く含む食品に里芋やほうれん草、たけのこなどがありますが、ほうれん草やたけのこを食べて喉や舌がイガイガしたり、里芋の皮を剥いて手が痒くなるのも、このシュウ酸が原因です。
シュウ酸結晶
シュウ酸結晶は、腎臓、骨組織、心臓、眼、神経組織など身体の臓器に蓄積する場合もあります。
眼に蓄積すれば眼がイガイガしたり、蓄積した部位に痛みをもたらすかもしれません。
実際、自閉症お子さんは眼をつつく行動が見られることがありますが、これはカビによるシュウ酸蓄積が原因です。
また、酒石酸は身近ではワインの瓶の底に「おり」として沈んでいる物質です。このワインのおりは特別に害はないとされていますが、わざわざ飲むことはしません。
酒石酸もシュウ酸も、細胞の中のエネルギーを生みだす回路(TCA回路)に入ると、エネルギー生成の邪魔をしてしまいます。これにより、エネルギーが出ない、だるい、疲れるなどの症状が現れてくるのです。
こうして、腸の中にカビが繁殖していると、頭痛や疲れなどの比較的軽い不調から、自己免疫疾患など、症状の重い病気まで様々な不調や病気の原因となるのです。
◆水銀
そして、あまり知られてはいませんがカビはその中に水銀を蓄えています。
水銀は水俣病の原因となった神経に異常をきたす原因となるものですが、歯にアマルガムという銀歯がある方は要注意です。この銀歯には水銀が含まれており、その蒸発した水銀蒸気を好んでカビが取り込んでいるからです。
水銀とカビは蜜月の関係です。
つまり「アマルガム銀歯の影にカビの存在あり、カビの影に水銀あり」ということになります。
もう一つ付け加えるなら、歯周病や口臭がひどい方は、歯周ポケットにカビが潜んでいる可能性が大きいので、こういうことに詳しい歯科医院へ相談されることをおすすめします。
腸カビ診断・腸カビドック
ここまで、腸カビとは何か、腸カビの正体についてお伝えしました。
もし、何か心当たりがあるようでしたら「腸カビ診断」をしてみることをおすすめいたします。
こちらから無料で腸カビ診断ができますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
1〜2分で診断ができます。
また、ご自身にカビがいるのかどうか調べたいという方は、腸カビの検査を実施していますので「腸カビドック」の詳細をご覧ください。